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アジアカップオープン遠征記

谷井翔太

この度ロシア・ウラジオストクで行われた「空道アジアカップオープン」に参加させて頂きました。ご報告いたします。

6月12日

2時間ほどのフライトを終えウラジオストク空港に到着。日本と同じく梅雨の季節だそうで、雨が降っていました。バスに1時間ほど乗り、ホテルに到着しました。その後夕食のため中華のレストランへ行きました。目の前には高級フカヒレやナマコなど普段食べられないようなものが次々と運ばれてくるものの、この時点で2㎏ほど体重オーバーしていたのでほとんど食べられませんでした。その後ホテルに帰り半身浴をしてから床につきました。

6月13日

無事計量をパスし、午前中はホテル内にある小さなトレーニングルームで最終調整をしました。稲垣先輩、飯村支部長、加藤支部長、小川支部長に戦術面で自分が考えていることをお話しし、アドバイスをいただきました。試合後の反省もそうですが、このように先輩方や選手同士でじっくりと話し合うことができたのは今回の遠征の中でとても有意義なものでした。小川支部長のお話の中で「自分がどういう選手で、どういうものを目指しているのか、どういう技で勝ちたいのかといった考えをもっとコーチ陣に伝えてほしい。でなければコーチとしてアドバイスをするのは難しい。」とありましたが、まさにその通りだと思いました。

午後は日本選手団で市内を観光しました。古い建物が多くのこり非常にきれいな街並みでした。機内で覚えた付け焼刃のロシア語のおかげで、ある程度現地の人ともコミュニケーションが取れ楽しむことができました。たまたま乗った市内を循環するバスには大会の広告ポスターが貼ってあり、改めてロシアでの空道の普及、盛り上がりを実感しました。

6月14日

7時半にホテルを出発しフェチソフ・アリーナへ向かいました。この日は非常に長い1日となりました。自分は準々決勝からの戦いだったので15時半まで待つことになりました。

準々決勝 対Pudovkin Dmitry(ロシア)

自分と体格が同じくらいの選手でした。基本的にサークリングしながら前蹴りを多用し間合いを大切にしながら戦いました。開始早々相手ミドルキャッチ→テイクダウン→ニー・インザベリーからの極めで効果を奪いました。結果この効果で優勢勝ちでした。常にフェイントを入れながらプレッシャーをかけられたので打撃で押されることもなく、組んでもあまりフィジカルの強さは感じませんでした。初戦で固さはあったものの、自分のイメージ通り戦えた試合でした。

準決勝 対Ishpulatov Shawkt(ロシア)

今大会優勝した選手で、自分より身長は低い選手でした。前回世界大会優勝のコリャン・エドガーに戦い方が似ているなと感じました。準々決勝と同じ意識で臨みましたが、不用意にパンチで間合いに入ったところを首投げ→体勢を直して片足タックルに入ったところを狙われて最後はフロントチョークで一本負けを喫しました。

ロシア勢の戦いを見て感じたことは

・常に前後の速いステップを刻んでプレッシャーをかけてくる。初動が速く一発目から倒しにくる。

・日本人が組む→崩す→投げるのに対して、ロシア人は組む→投げる意識。(長岡支部の目黒選手の投げの意識に似ている)組み際の投げに耐えるフィジカルを鍛えたり、相手の死角を取るように組んだりといったことをしていかなければ自分の組手はできない。

・関節技は基本タップしない。一本を取るには折りにいく覚悟で極めなければならない。

・後ろ回転系の蹴りは日本のように奇襲技としてではなく普通の技としてコンビネーションに組み込んでいる。

といったところです。
また、最も大きな反省点は‘相手の攻撃に対する対応・反応’ばかりに意識がいき、結果として試合の主導権を握らせてしまった点です。構え・間合い・フェイントを工夫してそもそも‘相手に攻撃を出させない、出しにくい’状況に追い込み、自分のペースで試合を運んでいくことが世界大会に向けて鍵だと感じました。

試合後はホテルに戻り、すぐにパーティーが始まりました。通訳のジーマさんのおかげで多くの方々と交流を図ることができました。準々決勝で戦った選手のお父さんはとてもフレンドリーで良い方でした。「こいつは4歳から空道をやり始めて強くなったんだ。」「君と空道を通してこうして仲良くなれることが嬉しいよ。」といったことを言っていました。日本人の組手のイメージを聞くと「独特でいやらしい」と言っていたのも印象的でした。

6月15日

9時半にホテルを出発し、成田空港に到着後解散しました。

今回の遠征で改めて武道がリスペクトされていること、空道が海外でものすごい勢いで普及発展していることを実感しました。海外に出て逆に日本の文化の素晴らしさに気付かされた点が多々ありました。今後とも日本で空道をやっている者としての誇りと自覚を持って日々精進していきたいと強く思いました。このような貴重な経験をさせていただき感謝します。この貴重な経験を空道の発展のために生かしていけたらと思います。東先生をはじめ審判・コーチ・取材・選手として行かれた皆様、ありがとうございました。

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更新日 2014.6.19